当研究室の小倉さんの論文がEMBO Rep.に掲載されました
生体分子の分解を担う細胞小器官であるリソソームは、さまざまな疾患の病原因子や老化に伴い損傷を受けることが知られ、病態の悪化や老化進行につながると考えられています。傷ついたリソソームは“リソソーム損傷応答”と総称される複数の経路によって修復されることが知られていますが、その詳細な分子機構は明らかにされていませんでした。
今回、研究グループは、リソソーム損傷応答の新たな制御因子の探索を行い、STK38というキナーゼと、GABARAPファミリータンパク質 (GABARAPs) の2つを同定しました。また、リソソームがオートファジーの一形態であるミクロオートファジーによって修復され、STK38とGABARAPsはこの経路の進行に必要であることを見出しました。さらに、これらの因子の欠損はリソソームの損傷増加を伴い、細胞の老化亢進や個体の寿命低下を引き起こしたことから、老化に対して防御的に働くことが示唆されました。これらの成果は、リソソームの恒常性維持に着目した健康寿命延伸や加齢性疾患の新規治療法への応用に役立つことが期待されます。
本研究成果は、国際科学誌「EMBO reports」に、11月21日(火)20時(日本時間)に公開されました。
プレスリリース(阪大HP)