吉森研究室 所属変更のお知らせ
2025年4月1日にて吉森研究室は
大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻 Beyond Cell Reborn学寄附講座へ変更となりました。
株式会社ダイセルとの寄附講座となります。

2025年4月1日にて吉森研究室は
大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻 Beyond Cell Reborn学寄附講座へ変更となりました。
株式会社ダイセルとの寄附講座となります。
当研究室研究グループは、欧州分子生物学研究所(EMBL)のRainer Pepperkok教授らとの共同で、オートファジーの開始に必要な新たなメカニズムを明らかにしました。
オートファジーは、細胞内の不要な分子や構造物を分解する仕組みで、オートファゴソームという膜構造で囲み、リソソームで分解されます。このオートファゴソーム形成には複数のオートファジー関連タンパク質群が協調して機能することが知られています。
これまでに研究グループは、細胞内のミトコンドリアと近接する小胞体膜上でオートファゴソーム形成が起こることを明らかにし、オートファジー関連タンパク質群のひとつであるPI3K複合体がオートファゴソーム形成に必須であることを見出しています。そのPI3K複合体の活性を制御するのがULK1複合体です。ULK1複合体は、オートファジー開始時に細胞質からオートファゴソーム形成部位である小胞体膜上に移行することが知られていますが、そのメカニズムや重要性はよく分かっていませんでした。
今回、研究グループは、ZDHHC13という酵素がULK1をパルミトイル化し、オートファゴソーム形成部位に局在させることを発見しました。ULK1のパルミトイル化により、PI3K複合体のATG14Lタンパク質がリン酸化されることで、PI3K複合体の活性化、オートファジーの開始につながります。
オートファジーが開始する際の分子メカニズムの解明により、分子機構の解明が進むだけでなく、オートファジーが関連する老化進行および神経変性疾患などの病態発症、進行の理解につながることが期待されます。
本研究成果は、国際科学誌「Nature Communications」に、日本時間の8月22日(水)に公開されました。
当研究室研究グループは、老化を促進する新規のエクソソーム産生制御機構を発見しました。
細胞内分解系のオートファジーは細胞外小胞形成に関与することが報告されていました。しかし、細胞間コミュニケーションに重要であると注目される細胞外小胞のエクソソームとオートファジーの関連について、その詳細な分子機構や生理的意義は解明されていませんでした。
今回、研究グループは、オートファジー関連因子に対してエクソソーム産生制御因子の大規模スクリーニングを実施しました。その結果、オートファジーを抑制する因子であるRubiconがエクソソーム産生を促進することを発見し、その分子機構を解明しました。さらに、Rubiconを介して分泌されるエクソソームが老化促進マイクロRNAを内包し、細胞老化を促進することを明らかにしました。
これらの結果により、細胞外小胞を介した老化制御機構の理解が進み、新規の老化制御技術の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Nature Cell Biology」に、8月22日(木)に公開されました。
プレスリリース(大阪大学)
当研究室研究グループはオートファジーによる選択的なゴルジ体分解(ゴルジファジー)の活性を評価するプローブを作製し、これを活用してゴルジファジーの新規受容体を発見しました。
オートファジーによるオルガネラ(細胞小器官)の分解は、細胞の恒常性維持に不可欠であると考えられています。最近、オルガネラの1つであるゴルジ体がオートファジーによって分解されることが報告されましたが、形成される隔離膜/オートファゴソームによってゴルジ体がどのように認識されるかについてはほとんど解明されていませんでした。
今回、研究グループは、オートファジー活性評価に用いられるプローブを応用し、ゴルジファジー活性を簡便かつ特異的にモニターできる評価系を開発しました。また、この評価系を用いて、独自のスクリーニングにより同定した因子であるYIPF3/YIPF4がゴルジファジーに必要であり、オートファジー因子との結合によりゴルジ体が基質として認識されることを証明しました。さらに、その結合にはリン酸化が重要である可能性を見出し、その制御機構の一端を明らかにしました。
これらの成果は、ゴルジファジーの分子機構の理解を進めるだけでなく、今後は開発した新規評価系によりゴルジファジー研究の促進とその生理的意義やその破綻による病気との関連の解明につながることが期待されます。
本研究成果は、国際科学誌「The EMBO Journal」に、5月31日(金)に公開されました。
プレスリリース(大阪大学)
2024年3月8日(金)に吉森保教授の最終講義、翌日3月9日(土)に退任記念祝賀会が開かれました。
年度末のご多忙中のところ、万障お繰り合わせのうえ 多くの方々にご臨席いただきましたことを
感謝致しますとともに、ここに厚く御礼申し上げます。
また温かいお言葉を送っていただきましたことも重ねて御礼申し上げます。
吉森教授は2023年度をもって定年退職をされましたが、
引き続き大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 特任教授として研究を続けられます。
先生には、心身のご健康にくれぐれも気をつけていただき、これからの益々のご活躍を願う次第です。
最終講義の動画をYoutubeにアップロードいたしました。
お知らせが遅くなり申し訳ございませんでした。
最終講義・祝賀会実行委員 一同
エネルギー産生を担う細胞内小器官であるミトコンドリアと、生体分子の分解を担うリソソームの機能を維持することは細胞を健康に保つうえで重要です。またミトコンドリアとリソソームは細胞内において接触部位をもちクロストークを行っており、互いの機能維持にそれぞれの存在が重要であることが示唆されています。さらに近年、細胞老化や様々な加齢関連疾患において、損傷を受けて機能低下したミトコンドリアやリソソームが共に蓄積していることが報告され、これが細胞老化や様々な加齢関連疾患における共通した特徴であることがわかってきました。しかし、ミトコンドリア、リソソームを制御する共通の機構があるのかどうか、両者のクロストークの分子機構、またその老化における意義は不明でした。
今回、研究グループは、オートファジー・リソソーム機能のマスター転写因子として働き、ミトコンドリア機能制御にも関わる転写因子TFEBに着目し、この下流でミトコンドリアおよびリソソーム両者のクオリティコントロールに関わる共通因子を探索しました。その結果、ミトコンドリアとリソソームが損傷を受けた際にTFEB依存的に活性化される新規の因子として、ヘキソキナーゼファミリーの一つHKDC1を同定しました。HKDC1は解糖系の酵素として働くことが知られていますが、この機能とは独立して、損傷したミトコンドリアの除去や損傷リソソームの修復を介して両者のクオリティーコントロールに必須の働きを持つことが分かりました。HKDC1はミトコンドリア損傷時において代表的な損傷ミトコンドリア除去機構であるPINK1/Parkin依存性マイトファジーを介して損傷ミトコンドリアの除去を担うこと、またリソソーム損傷時においては、ミトコンドリア・リソソーム接触部位を増加させ、リソソームの膜修復を促進していることを見出しました。さらにHKDC1を欠損した細胞では機能低下したミトコンドリアや損傷リソソームの蓄積を伴い、細胞老化が進行することが分かりました。これらの結果から、TFEBの下流でHKDC1はミトコンドリアとリソソーム両者の恒常性を維持し、細胞老化の抑制に働く必須の因子であることが明らかとなりました。今後TFEB-HKDC1経路の調節を介した老化抑制や加齢性疾患の治療法への応用に役立つことが期待されます。
本研究成果は、2024年1月4日(木)(日本時間)に国際科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」(オンライン)に掲載されました。
生体分子の分解を担う細胞小器官であるリソソームは、さまざまな疾患の病原因子や老化に伴い損傷を受けることが知られ、病態の悪化や老化進行につながると考えられています。傷ついたリソソームは“リソソーム損傷応答”と総称される複数の経路によって修復されることが知られていますが、その詳細な分子機構は明らかにされていませんでした。
今回、研究グループは、リソソーム損傷応答の新たな制御因子の探索を行い、STK38というキナーゼと、GABARAPファミリータンパク質 (GABARAPs) の2つを同定しました。また、リソソームがオートファジーの一形態であるミクロオートファジーによって修復され、STK38とGABARAPsはこの経路の進行に必要であることを見出しました。さらに、これらの因子の欠損はリソソームの損傷増加を伴い、細胞の老化亢進や個体の寿命低下を引き起こしたことから、老化に対して防御的に働くことが示唆されました。これらの成果は、リソソームの恒常性維持に着目した健康寿命延伸や加齢性疾患の新規治療法への応用に役立つことが期待されます。
本研究成果は、国際科学誌「EMBO reports」に、11月21日(火)20時(日本時間)に公開されました。
プレスリリース(阪大HP)
多数の分解酵素を持っているリソソームは、細胞内外の物質の分解を担う酸性オルガネラです。リソソームの膜は様々な因子 (シリカ、尿酸結晶など)によって損傷を受けることが報告されていますが、リソソームの内容物が細胞質に放出されることは、炎症、酸化ストレスなどを引き起こし、細胞にとって非常に有害です。リソソームの損傷は神経変性疾患などの病態発症や老化進行とも関わりがあり、近年注目を浴びています。
これまでに研究グループは、損傷を受けたリソソームがオートファジーによって選択的に隔離され分解・除去される現象を発見しました。また最近では、損傷したリソソームがどのようにオートファジーに認識されるのかという仕組みを解明しました。一方、リソファジー以外にも損傷リソソームの修復や生合成に働くリソソーム損傷応答経路が複数報告されました。そのため、これまでに用いていたリソファジーの評価法では、他の損傷応答経路を完全に区別することができないという問題に直面しました。
今回、研究グループは、 pHにより励起波長が変化する蛍光タンパク質mKeimaとリソソーム膜タンパク質TMEM192を融合して細胞に発現させることで、リソファジー活性を評価する実験系の開発に成功しました。また、従来の方法と比較すると、新規評価系ではより特異的にリソファジー活性をモニターすることができることを示しました。さらにこの新規評価系を用いることで、リソファジーの初期段階に機能する因子の同定に成功しました。今後は開発した新規評価系により、リソファジーの分子機構の解明が進むことが期待されます。
本研究成果は、国際科学誌「Journal of Cell Biology 」に、10月6日(金)に公開されました。
プレスリリース(阪大HP)
線虫を含む様々な生物種において、生殖機能の低下により寿命が伸びることが知られています。この分子メカニズムはよく分かっていませんでしたが、研究グループの中村らは、以前の研究で生殖細胞欠損に応じて活性化し、寿命延長の鍵を握る因子として転写因子MML-1を同定していました(Nakamura et al., Nat Commun, 2016)。MML-1は細胞内分解システムとして知られるオートファジーを活性化することで寿命の延長に必須の働きをしますが、どの組織のMML-1の働きが重要なのか、どのようにオートファジーを活性化し、個体の寿命を制御するのかなどよく分かっていませんでした。
今回、研究グループは、線虫を用いて寿命延長におけるMML-1の組織特異的な解析を行い、神経系のMML-1の活性化が全身の老化抑制・寿命延長に必須の働きをもつことを見出しました。さらに、神経系MML-1を起点とした全身でオートファジーの活性を制御する組織間ネットワークを明らかにしました。今後、神経系の転写因子MML-1を起点とする本ネットワークの理解が進むことで、健康寿命延長や加齢性疾患の治療への応用につながる可能性があります。
本研究成果は、米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に、9月19日(火)午前4時(日本時間)に公開されました。
塩田さんが第46回日本基礎老化学会大会の学生優秀発表賞を受賞しました。
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